15自然保護委員会: 2008年1月アーカイブ

活動の概要

1.カタクリパトロール

奥多摩 御前山にカタクリの群生地があります。 登山道にカタクリ保護の為踏み入れ禁止区域のロープを張り、毎年4月中旬から下旬迄の毎日スタッフが山頂に常駐しキャンペーンと監視をしています。 10年以上も続けていますので山の雑誌社から表彰も受け、毎年訪れてくる登山者には意識が定着してきました。 現在では主に観光バスで来る人々をターゲットにしています。

 2.春・秋の自然観察会
新聞のアウトドア欄などで参加者を募集して、奥多摩で春と秋の2回自然観察会をしています。 当初は外部から講師を招聘していましたが現在では30名の委員全員が講師をやれるようになりました。 花や樹木の名前を覚えるだけではなく、自然界の仕組みを学習する観察会です。 春には山菜の天婦羅、秋にはきのこ汁を振舞って参加者に喜ばれています。 春と秋、同じコースを歩き、季節の推移で植物がどの様に四季に対処しているかを観察しています。 20年も続けていますので世の中に自然環境保全の考えが浸透し、世論形成の一助になればと続けています。

3.高尾山清掃キャンペーン
1972年6月5日スウェーデンの首都ストックホルムで開催された国連人間環境会議を記念して、6月5日が世界環境デーと設定されました。 我々は毎年6月第一日曜日京王高尾山口駅で都岳連のゴミ袋を配布し、一般登山客にクリーンキャンペーンをしています。 やり始めた頃は未だゴミがありましたが、最近は殆ど見当たらなくなりました。 1972年に始まった尾瀬のゴミ箱撤去運動の影響もあり世間の風潮と相まって効果が現われたものと自負しているところです。 人間が自然を保護できる訳でもありませんが長く続けていればなんとかなるものだと考えながらやって行こうと思っています。

4.奥多摩山系水質調査
カタクリの御前山他2ヶ所で3月から12月迄毎月1回水質調査をしています。 山の水は冷たくてきれいで美味しいとの概念がありますが実際には大腸菌で汚染されて飲用不適です。 調査を開始して10年余り経ちます。 登山者のモラルの向上に役立つ基礎データとしてこれからも続けて行きます。

5.雲取山定点観測
毎年7月と12月一泊で東京都の最高峰雲取山へ登り、山域調査、山小屋のトイレ調査を続けています。

6.日本山岳協会自然保護指導員の募集と研修
机上講習、実地研修を受けた人を指導員の資格アリとして日本山岳協会へ推薦しています。 また、指導員になって5年以上経った人には自然保護委員会の行事に参加してもらい再教育も行っています。 現在都岳連には270名の指導員が登録されており、昨年は19名今年は15名が新しく参加してきました。 自然に対する高い意識を持った人々も養成しています。 

7.日山協の自然保護全国大会やその他のイベントなどに参加しています。

アジア山岳連盟国際自然環境会議2007in松本 にて、委員長が都岳連自然保護委員会の紹介をしました。

 北極の氷が70−80年代頃に比べて日本列島の7.5個分も解けてしまっているそうです。南極の氷もそうだと思いますが地球温暖化のスピードが急激に上がっています。その為、南太平洋に浮かぶ美しい珊瑚礁の島ツバルは海水面の上昇により世界で最初に沈む国だと言われています。既に住民は脱出を決意したそうです。
 地球の誕生が46億年前、人類の出現が600万年前とするならば産業革命後のたった260年前頃から人間は自然界の循環サイクルを断ち切って急速に地球破壊を始めました。

 私達の東京都山岳連盟自然保護委員会は、社会人・大学等の山岳団体260団体が加盟している公益社団法人東京都山岳連盟の中の一つの委員会です。自然保護委員会には30名程のメンバーがいます。毎月委員会を開き、年間計画の基に活動をしています。
 「継続は力なり」、少人数ではありますがたゆまぬ努力と継続で社会の自然に対する意識を喚起すべく啓もうに努めています。
 
 (アジア山岳連盟国際自然環境会議2007in松本から)
  自然保護指導員 徳永邦光